節分と多様性

年中行事みたいなものからご無沙汰するようになって、だいぶ経つ。

 

昔は(といってもそこまで昔ではない、ここ10年くらいか)、そうは言っても、割となんやかんやと年中行事をやるタイプの人間であった。クリスマスには鶏を一羽丸ごと焼いてみたり、お正月にはお雑煮を作ってみたり、そんなにきっちりはやらなくても、まあ意識はしていたような気がする。

 

さて、ここ数年はもう本当に、いつ何が起きているのかを把握することすらままならない、というか、そういう情報を知ること自体を放棄している自分がいる。というのも、知らない年中行事が増えていたり、知っている年中行事もいつの間にか風習やしきたりが変わっていたりして、ついていけていないからだ。

 

今日(もうすぐ終わるけれど)で言えば、節分。

 

節分で「恵方巻」なるものを恵方(というのもよくわからないが)に向かって食べる、というのはいつから全国区になったんだろう。ぼくが子どもの頃は、そういう風習が西の方(ぼくは北の方に住んでいたので、そういう風習はなかった)で行われているらしい、という都市伝説的な扱いだったのが、今やまるで当たり前のようにエホーマキをみんなでほおばっている。

 

で、今年は何年かぶりに2月2日が節分らしいのだが、そもそも普段はいつが節分なのかわかっていない(2月3日らしい)し、なぜ今年の節分が2月2日になるのかをきちんと説明されていない(暦のズレなんだそうな。よくわからないが)。

 

節分と言えば、「鬼は外、福は内」と叫びながら豆(主に大豆)をまき散らすという極めてアナーキーかつパンクな奇祭としてぼくは記憶しているのだが、地方によっては「福は内」しか言わななかったり、「福は内、鬼も内」という地域もある、という話を聞いたことがある。都市伝説だろうか。

 

イワシの頭の焼いたやつを玄関の前にぶら下げとく地域もあると聞いたことがある。これも真偽のほどは定かではない。あと、干し肉(ビーフジャーキーでも可)で船を作り、川に流す風習がある地域もあるとかないとか聞いたことがあったような気がする。

 

ぼくが住んでいる地域では、大豆の代わりにピーナッツ(殻付き)を投げる家が結構あったような気がする。床に落ちても、殻をむくと食べやすいではないか。実に合理的である。

 

てな具合に、同じ年中行事でも、昔はけっこう地域によってカラーというか、やることが違ったような気がする。個人的には、それこそが地域のカラーだし、違っていいんじゃないか、と思ったりする。

 

ぼくは極論するとアナーキストだと思っているので、何かルールであるとか、決まりのようなものはできるだけ無い方が良いと思っている。とはいえ、過激派ではないから、最低限守るべきものはあった方が良いよね、と思う。だから、地域とか個人とか、それぞれが自由であればいいよね、と信じている。

 

でも、これはテレビやインターネットの影響なのか、あるいは全国チェーンのスーパーやコンビニが増えたせいなのか、地域ごとにあった「文化の違い」みたいなものがどんどん薄れていっているような気がしている。

 

香川県ではバレンタインデーに、本命の相手にはうどんを2玉(1玉でも3玉でもなく)渡すとか、北海道では新巻鮭を一匹プレゼントするとか、そういう地域ならではの風習があったらしい。ところが、今ではチョコレート一辺倒である。

 

節分も同じである。ぼくは少なくとも、子どもの頃には恵方巻を食べるなんて風習はなかった。豆まきの季節は、でん六豆に鬼のお面がおまけに付いてきたことだけは覚えている。

 

お雑煮もそうである。ぼく個人としては京都の白みそ仕立てのお雑煮なんて!と思うし、香川県にあると言われる白みその中にあんこ入りのお餅を入れるお雑煮にまで行ってしまうと、ちょっとぼくのお雑煮観とは相容れないものがある。でも、そういう「違い」こそが面白いし、多様性じゃないかとも思う。

 

地域ごとの文化がなくなることが「悪いこと」だとも思っていない。ただ、日本という国はこれだけ狭い(もちろん日本よりも狭い国はあるけれど)島国にもかかわらず、これだけ多種多様な文化を醸成してきたということ、そのことを何らかの形で、出来れば生きた形で遺していけたらなあ、とぼくは漠然と思っている。

 

※本文中で紹介されている情報には事実確認が取れていないもの、並びに事実無根のものも含まれております。(まさかとは思うけれど)ド直球に信じないことをおススメいたします。

 

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