バランスを取るために、敢えてバランスを崩してみる
何事もバランスが重要である。
色々な人から、ずっと言われ続けてきたことなのだけれども、これが最近になって、ようやくわかり始めてきている。
バランスが取れていないと、破綻する。
お金ばっかりを見て、手っ取り早く稼げることに集中する。もしくは、このビジネスはお金じゃない！と言って貯えを溶かしながら（あるいは借りたお金を投入しながら）続けていく。
どちらもバランスが取れているとは言いにくい。
自分に厳しく、他人に厳しくし過ぎるのも、自分にも他人にも甘いのも、やっぱりバランスが取れてない。
全員ホームランバッターで足が遅くて守備が下手くそなナインも困るけれど、全員が小技の利く（懐かしいところで言えば阪神の久慈みたいな）選手ばっかりでも困る。
ブルペンの控え投手が全員右ピッチャーだった場合、左の強打者が出てきたときにワンポイントリリーフが使えない、みたいな話だ。
それは違うか。ともかく。
バランスの大切さはわかるけれど、「バランスを取る」というのはとても難しいことだ。
意識してバランスを「取りに行こう」とすると、ややもすると「小さくまとまる」可能性もある。
例えば、プレゼン。
とても陽気でおしゃべりで、サービス精神が旺盛な人が、20分のプレゼン時間を与えられたとする。この時間内に聞いている人を楽しませ、なんなら相手の言いたいことも聞き、その上でこちらが言いたいこと、伝えたいことをきちんと伝えるにはどうしたら良いか。
とてつもなく難しい課題だと思う。20分しかないの？もう少し時間をくださいよと思うかもしれない。
いつも通り全力でやってしまうと、どうしても時間がオーバーする。だから、「どこを短くすればいいか？」とちょこまかやっていると、その人の良さがイマイチ出ない。なんか、決められた台本を棒読みしてるみたいになっちゃう。
こんなことはよくあるんじゃないかなと思う。
だとしたら。一度振り切ってみることをぼくはおすすめする。
さっきの例で言うならば、自分がやりたいプレゼンを、時間なんて気にせずに、120％全力でやってみる。そうすると、全力でやった結果のタイムが出る。
それがわかると、何が起こるか。自然と、バランスが取れてくる。
一度振り切ってみると、逆に中心が見えてくるのだ。
んなアホな、と思うかもしれないけれど、本当だからやってみてほしい。
実は文章も同じことだ。1000文字の課題なのに、言いたいことは5000文字くらいあるとしたら。最初から1000文字に詰め込もうとするより、5000文字で書き切ってしまってから、1000文字に整える方が、全体のバランスが取れた文章になることがある。
大きくバランスを崩した文章ばかり書いているぼくが言うことではないのだが。
ともかく。
最初から、この小さい枠にどうやったら全て詰められるか・・・と考えるよりも、自分の中からあふれてくる「詰めたいもの」を一度全部出してみて、そこから整理していく方が、結局早いし、良い物が出来上がる。より高い次元でバランスが取れる、とぼくは思っている。
ついつい、枠があったり、バランスを取ろうとすると、人は大胆さや自由さを犠牲にしてしまう。
それが悪いわけではないし、それでうまくいけばいい。けれども、そこからでは生まれないもの、あるいはそのことによって失われるものもあるんじゃないか、とぼくはにらんでいる。
絶妙なバランスを実現するためには、一度バランスを崩してみる必要があるのかもしれない。というのが、今のぼくの仮説である。
陽極まれば陰に至るし、陰極まれば陽に至る。
極まらないと、あるいは極めるところまで突き詰めてみないと、見えてこないものがあるんだろう、というのが、ぼくの感覚的な意見である。
なんでこんなことを書いているかと言うと、それはぼくが「極められない」人だったからである。小さくまとまって、バランスを取って、何となく良いような、でも何となく味気ないような・・・。
そんなことをずっとやってきた実感があるからだ。
「若いうちに冒険したり、やんちゃしなさい」というのは、人生論的にあながち間違いじゃないのかもしれない、と思う。
若いうちにバックパッカーなんかをしてみたり、極端にお金に走ってみたり、あるいは慈善事業に傾倒してみたり、スポーツや歌、音楽でも何でも良いけれど、何かを極めきろうとした人は、その後、何となく良いバランスが取れた魅力的な人になっている（気がする）。
大きな話になり過ぎたので、戻す。
何か、バランスを取るとき（まあ、人生はバランスを取ることの連続なのだけれど）、「一度振り切ってみる」ことを意識してみてはどうか？というのが、ぼくの提案である。
そうすることで、高い次元でのバランスが見えてくるんじゃないか。
思い切って偏ってみたからこそ、中心が良く見えてくる。
そんなことがあるんじゃないか。
そんなことを考えている。
それは、ぼくがてんびん座だからか
（間違いなく関係ない）。
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