こんな本を読んだ『GRIT 平凡でも一流になれる「やり抜く力」』

 

GRIT 平凡でも一流になれる「やり抜く力」

GRIT 平凡でも一流になれる「やり抜く力」

 

 

■そもそも「GRIT」とはなんぞや

「GRIT」とは、Guts(度胸)、Resilience(復元力)、Initiative(自発性)、Tenacity(執念)の頭文字をとったもの。まあ、副題にあるとおり、これがあれば「平凡な人でも、一流になれまっせ」というものだという。訳者もあとがきで書いていたけれど、まあ一言で言えば「努力と根性」みたいなもんだ。

 

 

読む前は、そういう「努力と根性さえあれば、何でもできる」式の話ってニガテなんだよなあ・・・と思いつつ読んだのだけれど、意外にさくさく読めたし、面白かった。「良くあるビジネス書」だろうなあ、と思って読んだのだけれど(もちろん、その側面はある)、思った以上にビジネスビジネスしてなくて、読みやすかった。

 

「GRIT」という後天的な能力によって、いかに人生を切り拓くかを書いた本。そもそも、著者が40歳かなんかから広告代理店を始めた二人で、そういう意味でも、「GRIT」を発揮してきた人たちが書いたと言える。

 

で、この手の本でキツイのは、「自分(自分たち)はいかに素晴らしいか」をずらずら並べられるケースなんだけど、意外とそれはあまりなかった。もちろん、自分たちの話も出てくるんだけれども、そこまで嫌みでもないし、「ほほう」と素直に読める。

 

それは、彼女たち自身の話以外も、たくさんのケーススタディを挙げているからかもしれない。それを積み重ねつつ、「では、どうしたらその力を身に着けられるか?」というところまで落とし込んで書いてあるのが良い。

 

■1日1回「拒絶されよう」ゲーム

僕が特に「へー」と思ったのが「リジェクションセラピー」。

 

毎日、誰かに「拒絶されなくてはいけない」というルールのゲーム。つまり、拒絶されたらOK、というもの。逆に、相手がリクエストに応じた場合は、十分大きな要求をしなかったということで、失敗にカウントされる。

 

これによって、不合理な不安や恐怖が我々の暮らしを支配・制限しているかを知る、というモノらしい。んで、実際にこれを試した人の話が出てくる。例えば、コストコで店内放送でしゃべらせてくれとか、知らない人に100ドル貸してくれ、とか。まあ、断られるわな、普通。

 

でも、そのように「拒絶に対する耐性」みたいなものをつけていくというのは、面白いなと思った。僕は人から拒絶されることに慣れていないし、拒絶されるくらいなら要求もしない、というスタンスで長いこと生きてきたので、この考え方は新鮮だった。

 

■自分をクビにしてみよう(!)

人はどうしても、今持っているものを守りたい、失いたくないという心理が働く。この本では、それに対する対策も紹介している。

 

つまり、自分をクビにしてみるわけだ(今のアメリカ大統領のキメ文句風に言えば「You are fired」ですか)。で、今日失業したらどうするか、持てるものを失ったらどうするかを自問する。次に、どんな手を打つかをリストアップする。

 

そうするだけでも心の準備ができ、人生が一変した時の恐怖を和らげることができる。また、人生における変化を積極的に捉えられるようにもなれると説く。

 

「今もし、自分が仕事から何から失ったとしたら」と考えると、仕事があること、給料をもらえていることに感謝が生まれる。そして、万が一、本当に職を失った時に「さて、どうしようか?」と切り替えて考えることができるだろう、とも思う。

 

普段は基本的にビジネス書を読まないのだけれども、たまには面白いねえ、と思った。