漫才師に学ぶ、歩みを止めないことの大切さ

f:id:abenob2010:20210113154841j:plain

 

人間、ある程度の結果や成果が出ると、安心したり、満足したりするものである。

 

樽を知る、もとい、足るを知るということはもちろん必要だと思う。樽を知る必要があるかどうかは知らない。あなたがウイスキーのブレンダーなら、たぶん必要だろう。でも、「足るを知る」ことと、「現状に満足して歩みを止めてしまう」ことは別であるという氣がしている。

 

現状に満足せずに歩みを止めないとはどういうことか。これは漫才師を見ればよくわかる(はずだ)。

 

例えば、ハライチ。ご存じの方も多いかもしれないが、「芸人になってなかったら、刑事になりたかった」と話を振り、「ベテランの刑事」、「インテリな刑事」、「スケバンの刑事」、「ニコラスのケイジ」、「ぬかみそのケーキ」、「笹かまのブーム」、「控えめなビーム」など、どんどん関係ないことを振る岩井さん。

 

それに対して、「えー、来日してんすか?ニコラスのケイジ?」とか「何に並んでるんですか?これ?笹かま?」とか「ビー、くらいかな。控えめだからね」などと乗っかっていく澤部さん。

 

ノリボケ漫才」と称されることもあるこのスタイルで、ハライチは2005年に結成後、2009年にはM-1グランプリの決勝にまで進んでいたりする。

 

が。ハライチは近年、このノリボケ漫才をほぼやってない。オーソドックスと言えばオーソドックス、でも日常を独特な視点で切り取る漫才を多く披露している。

 

ノリボケ漫才の方が面白かったな~」と言われてしまうリスクもあったろうに、ある意味彼らはその「安住の地」を離れたわけだ。しかも、ちゃんと質の高い漫才を生み出しているわけで、もうなんか、すごいしかない。

 

もう一組、ナイツもご紹介したい。

 

ナイツと言えば、ボケの塙さんがインターネットのヤホーで有名人について調べてきた間違った知識を披露し、それをツッコミの土屋さんが冷静に訂正する「ヤホー漫才」で知られる。

 

例えば、あるネタではプロ野球選手の「イチロー」について調べてきたといい、紹介を始める。

 

曰く「1952年、三重県で生まれ、お父さんが漁師でお母さんは海女さんをやっていたそうです。高校を卒業したあとに遠洋漁業の世界に入りまして、それからマグロの一本釣りをね5年間されていたんですね。その後調理師の免許を取りまして、一時期板前を志すんですけれども、27歳の時に弟の山川豊と・・・」。

 

というところで「鳥羽一郎さんになっちゃってる」とツッコむ。まあ、もちろん途中途中で土屋さんも「?」のサインは出していて、それもまた面白いんだけども。

 

で。ナイツがすごいのは、独演会でひじょーに実験的(と敢えて言おう)な漫才をしていること。

 

例えば、普通に漫才している途中で「もっと強く叩いてツッコんで、でも、怖くなっちゃダメだから、方言でツッコんで優しさを出す」などと言い、結果として他のコンビのコピーをする漫才(ここで出たのはもちろんカミナリのコピーだ)。先ほど出たハライチのノリボケ漫才もコピーしていたが、まあ面白い。

 

ぼくがすげーなと思ったのは、最初塙さんが一人で出てきて、一人で(しかも英語で)ボケの台詞を言う。全部言い終わったらハケて、今度は土屋さんが一人で出てきて、日本語でツッコミの台詞を言う。全部言い終わったら、これまたハケる。その後は二人で出てきて、塙さんは日本語でボケ、土屋さんが英語でツッコむという、実に高度というか、ある意味難解な漫才。

 

こんなんやる必要ある?とすら思う。ひょっとしたらこの二人は、漫才の限界というか、どこまでが漫才なのか、みたいな領域まで踏み込んでいるのかもしれない。

 

二組とも、かなり高いレベルで「コレ」という武器を手に入れたはずなのに、敢えてそれを置いて、新しい領域に挑戦しようとしている。これってスゴイことだと思う。

 

で、二組ともすごいなと思うのは、たぶんそれを楽しんでやっていること。本人たちが楽しいから、歩みを止めずに新しい領域、新しい漫才へとチャレンジしていくんだろう。

 

実はハライチにしろ、ナイツにしろ、『M-1グランプリ』では優勝していない。たぶん『THE MANZAI』でも優勝してないんじゃないかな。意外とそういう賞レースではトップを獲れてない印象がある。でも、歩みを止めない二組だからこそ、今でもお笑いの最前線で戦えている、という気もする。

 

現状に満足せずに、さらに高みを目指す。うー。見習いたい。

=====
編集プロダクション、出版社、企業広報など
文章を書いて20年のプロが、
あなたの話を聞いて
「想い」を文章にします。

ご依頼、お問い合わせはこちらから

あべのぶお ライティング依頼・問い合わせフォーム


=====

あなたが解決したいお悩みやテーマを聞いて、
あなたの中にしかない「答え」を
一緒に見つけに行くセッション、承ります。

あべのぶお 個人セッション申込みフォーム

=====

本当のあなたの可能性に出会う、
人生を楽に楽しく先読みする速読

『楽読』の体験会は↓↓こちら↓↓から
https://rth.co.jp/school/single-school.html?schoolId=6