漫才師に学ぶ、歩みを止めないことの大切さ
人間、ある程度の結果や成果が出ると、安心したり、満足したりするものである。
樽を知る、もとい、足るを知るということはもちろん必要だと思う。樽を知る必要があるかどうかは知らない。あなたがウイスキーのブレンダーなら、たぶん必要だろう。でも、「足るを知る」ことと、「現状に満足して歩みを止めてしまう」ことは別であるという氣がしている。
現状に満足せずに歩みを止めないとはどういうことか。これは漫才師を見ればよくわかる(はずだ)。
例えば、ハライチ。ご存じの方も多いかもしれないが、「芸人になってなかったら、刑事になりたかった」と話を振り、「ベテランの刑事」、「インテリな刑事」、「スケバンの刑事」、「ニコラスのケイジ」、「ぬかみそのケーキ」、「笹かまのブーム」、「控えめなビーム」など、どんどん関係ないことを振る岩井さん。
それに対して、「えー、来日してんすか?ニコラスのケイジ?」とか「何に並んでるんですか?これ?笹かま?」とか「ビー、くらいかな。控えめだからね」などと乗っかっていく澤部さん。
「ノリボケ漫才」と称されることもあるこのスタイルで、ハライチは2005年に結成後、2009年にはM-1グランプリの決勝にまで進んでいたりする。
が。ハライチは近年、このノリボケ漫才をほぼやってない。オーソドックスと言えばオーソドックス、でも日常を独特な視点で切り取る漫才を多く披露している。
「ノリボケ漫才の方が面白かったな~」と言われてしまうリスクもあったろうに、ある意味彼らはその「安住の地」を離れたわけだ。しかも、ちゃんと質の高い漫才を生み出しているわけで、もうなんか、すごいしかない。
もう一組、ナイツもご紹介したい。
ナイツと言えば、ボケの塙さんがインターネットのヤホーで有名人について調べてきた間違った知識を披露し、それをツッコミの土屋さんが冷静に訂正する「ヤホー漫才」で知られる。
例えば、あるネタではプロ野球選手の「イチロー」について調べてきたといい、紹介を始める。
曰く「1952年、三重県で生まれ、お父さんが漁師でお母さんは海女さんをやっていたそうです。高校を卒業したあとに遠洋漁業の世界に入りまして、それからマグロの一本釣りをね5年間されていたんですね。その後調理師の免許を取りまして、一時期板前を志すんですけれども、27歳の時に弟の山川豊と・・・」。
というところで「鳥羽一郎さんになっちゃってる」とツッコむ。まあ、もちろん途中途中で土屋さんも「?」のサインは出していて、それもまた面白いんだけども。
で。ナイツがすごいのは、独演会でひじょーに実験的(と敢えて言おう)な漫才をしていること。
例えば、普通に漫才している途中で「もっと強く叩いてツッコんで、でも、怖くなっちゃダメだから、方言でツッコんで優しさを出す」などと言い、結果として他のコンビのコピーをする漫才(ここで出たのはもちろんカミナリのコピーだ)。先ほど出たハライチのノリボケ漫才もコピーしていたが、まあ面白い。
ぼくがすげーなと思ったのは、最初塙さんが一人で出てきて、一人で(しかも英語で)ボケの台詞を言う。全部言い終わったらハケて、今度は土屋さんが一人で出てきて、日本語でツッコミの台詞を言う。全部言い終わったら、これまたハケる。その後は二人で出てきて、塙さんは日本語でボケ、土屋さんが英語でツッコむという、実に高度というか、ある意味難解な漫才。
こんなんやる必要ある?とすら思う。ひょっとしたらこの二人は、漫才の限界というか、どこまでが漫才なのか、みたいな領域まで踏み込んでいるのかもしれない。
二組とも、かなり高いレベルで「コレ」という武器を手に入れたはずなのに、敢えてそれを置いて、新しい領域に挑戦しようとしている。これってスゴイことだと思う。
で、二組ともすごいなと思うのは、たぶんそれを楽しんでやっていること。本人たちが楽しいから、歩みを止めずに新しい領域、新しい漫才へとチャレンジしていくんだろう。
実はハライチにしろ、ナイツにしろ、『M-1グランプリ』では優勝していない。たぶん『THE MANZAI』でも優勝してないんじゃないかな。意外とそういう賞レースではトップを獲れてない印象がある。でも、歩みを止めない二組だからこそ、今でもお笑いの最前線で戦えている、という気もする。
現状に満足せずに、さらに高みを目指す。うー。見習いたい。
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