言葉を選ぶことと、生き方を選ぶこと
『ジョジョの奇妙な冒険』を読み始めた。
「いまさら?」というコメントは受け付けない。私自身がそう思っているからである。
いまさらなのは百も承知なのだが(なぜ千も承知ではないのかは、ぼくは知らない)、これがまあ、面白い。当たり前か。面白くなければ、こんなに長く語り継がれるわけがない。
第一部~第二部(『ジョジョ』は部が変わるごとに主人公が変わっていくという、なかなかややこしいシステムを採用している)では、呼吸を元にした「波紋」という技術(?)を使って戦闘を行うのだけれど、第三部からは「幽波紋(スタンド)」という概念が登場してくる。
これは、発現する人しない人がいて(発現しても、使いこなせないケースもある)、人それぞれに異なる特徴を持つスタンド(表記をこちらで統一する)を持っている。
例えば、スピードとパワーが強いスタンド、力は弱いが遠くまで届くスタンド、炎を使いこなせるスタンド、とかはまあ、何となくイメージが付きやすいんじゃないかなと思う。
他にも霊視ができるスタンド、何キロも先の相手を音で捕捉して戦うスタンドなど、色々ある。ただ、まだ途中までしか読んでないので、ネタバレは避けてほしい。
さて。なんで急に浅い知識でジョジョの解説を始めたかというと、「言葉」は「スタンド」のようなものだ、とぼくが思ったからである。
スタンドは、使いこなせれば(ジョジョの世界では)戦いを有利に進めることができる。相手のスタンドの特徴を抑えれば、その得意分野にハマらないように、そしてこちらの得意な状況に持ち込んで戦うということが出来るようになる。
駄菓子菓子だ。裏を返せば、自分のスタンドの特徴をよく知っておかないと、使いこなすこともできないということになる。自分が使っている(という言い方が良いかどうかわからんが)スタンドがどういう特徴で、どういう性質かを理解しないと、自分が痛い目にあったりする(のではないか)と思う。
言葉も同じである。
言葉は、スタンドよりはもう少し、万人に使えるものだ。だからこそ、逆に危ない。
自分が使っている言葉、発している言葉がどういうことなのか、自分が言いたいこととピッタリと合っているのか。
人のふり見て我がふり直せ、人のフリ見て我がオチ直せが私のモットーだが、時々「この人は本当にそう思っているんだろうか」という言葉に直面することがある。一言で言うと、言葉は重たいのに、その人の発言(あるいは思い)がやたら軽く感じることがある。
「重大に受け止めて、真摯に対処したいと思います」と言っている、その姿からその意思を感じられなかったり、「感動しました!」という言葉が上滑りしてしまっていたり。
別に、それはその人が悪いとか言いたいわけではない。ただ、私とは言葉の捉え方が違うんだろう、と思うことは確かだ。
だから、ぼくは出来るだけ、「身の丈に合った」言葉を使いたいと思っている。テンプレ的に、こう言えば間違いないでしょ的な言葉は、なるべく使いたくない。それは個人的なこだわりである。
ただ、一方でそれは「思考トレーニング」にもなるかもしれないとも思っている。自分はこう思った、こう考えた。そのことを「一般的に」表するならばこういう言葉だけれど、本当にその言葉がしっくりくるのか?と意識してみる。すると、違った言葉が浮かび上がってくることもある。
もちろん、楽しい時に「楽しい」、嬉しい時に「嬉しい」、悲しい時に「悲しい」、つらい時に「つらい」と素直に言えることはもちろん大切だ。その言葉に、自分の想いがしっくり来ているかどうかの方を、ぼくは重視したい。
「感動」と言っても、様々な想いがあるはずだ。共感なのか、意外なのか、何だかわからないけれど心が揺さぶられたのか。なんだっていい。
何なら、言葉にできなくても良い。それをそのまま出す努力をこそ、ぼくはしたいと思っている。
何か、人の話を聞いて、胸に熱いものがこみ上げてきた。それを「感動」と呼ぶのはたやすい。でも、そうではない「何か」があるかもしれない。その言葉をこそ探したい。
ついつい、ぼくらは使いやすい、手あかのついた(と敢えて言おう)言葉をチョイスしてしまうことがある。あるいは、相手と共通認識が持てている言葉を選んでしまうことが多い。
でもそれは罠だ。それを続けることで、ぼくらは思考停止に陥っていく。最終的には何が起きても「ヤバい」で済ます人になってしまう。
もちろん、それでもいい。ある意味それは、ハイコンテクストとも言える。
ハイコンテクストとは・・・↓↓↓
https://makitani.net/shimauma/high-context
でも、だとするとそれはもはや、様々な前提を共にした人としか、「共有」や「共感」、「共鳴」をできないという立場を取ることになる。本当に、それで良いか。
ぼくはいやだね。
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