映画『空母いぶき』を見てきたよって話(感想、ネタバレありかも)

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人に勧められて(というか見ろ!という指示を受けて)、『空母いぶき』見てきました。

 

マンガも読んでなければ、海上自衛隊マニアでもない(当然陸上自衛隊航空自衛隊も)。そして、西島秀俊にも佐々木蔵之介にも佐藤浩市にもさほど興味がない(男前だとは思うけど)、事前の興味ポイントとしては本田翼くらいな僕でしたが、良かったです。

 

あ、ちなみにマンガとはだいぶんストーリーが異なるようです。

 

見てきた感想で、特に言いたいことを3つにまとめてみたので、どうぞ。

 

  1. それぞれの持ち場で「戦う」こと
  2. この日常は「当たり前」じゃない
  3. 映画『空母いぶき』は相互理解の物語である

 

それでは、行ってみましょうか。

 

それぞれの持ち場で「戦う」こと

この物語は、近い未来、東南アジアに民族主義的国家が勃興し、日本の与那国島(だったはず)不法占拠するというところから始まる。

 

もちろんフィクション。ただ、尖閣諸島問題やら何やらを考えると、全くあり得ない話でもないわな、という氣にさせられる。

 

で、日本側は与那国島自衛隊初の航空母艦「いぶき」を旗艦とする第五護衛隊群を現地に直行させる。が、当然ながら敵国(架空の国家、東亜連邦)も第五護衛隊群に攻撃を仕掛けてくる。

 

このあたりが面白いところで、自衛隊は「自衛権」はあるけれど「交戦権」を行使してはいけない、という憲法上の縛り(と、敢えて言おう)がある。

 

そのため、戦術的にこちらから手を出した方が絶対に有利な戦局であっても、迂闊に攻撃を仕掛けられないというジレンマがある。

 

第五護衛隊群の艦長をはじめとする乗組員の面々は、それぞれの思想や考えを持ちつつも、この「先に手を出さない」、「相手もこちらも被害を最小限に抑えつつ、任務を遂行する」という極めて難しい戦闘を強いられる。

 

一方、総理大臣をはじめとする内閣の面々や、外務省アジア大洋州局の面々は、外交でこの難局を乗り切るべく奔走する。いかに相手国との軋轢を避けつつ、自国の主張を通すのか。いかに国連を動かすのか。つまりは「政治」というフィールドでの戦い。

 

一方、任務前には訓練航行を行っていた「いぶき」には、マスコミの人間が取材のために搭乗していて・・・という設定もなかなかニクイ。民間人かつマスコミの立場としては、戦闘の様子を広く人々に伝える役割がある。これはこれで「報道」という戦いでもある。

 

さらにさらに。映画の中ではコンビニの店長さん(中井貴一。贅沢!)が登場する。彼もまた、彼のフィールドで戦っている。劇中の時間設定は、クリスマスイブ。コンビニの店長である彼は、クリスマスプレゼント用のお菓子の詰め合わせセットをせっせと作る。しかも手書きで子どもたちにメッセージを付けて。

 

その中の一つが、これ。

 

「せかいはひとつ。みんなともだち」

 

国家が領土問題でつばぜり合いを繰り広げている中で、このメッセージ。でも店長さんは、これを子どもたちに伝えたいと心から願っている。これはこれで、店長さんが次世代の子どもたちに何を伝えるかを賭けた「戦い」なのである。

 

そう。空母や護衛艦に乗って戦闘している自衛官たちだけが「戦っている」のではなく、政治、ジャーナリズム、そして市井の人たちも「戦っている」。それぞれのフィールドで、それぞれの武器を持って。

 

この日常は「当たり前」じゃない

ぼくらはこうして今、あくびでもしながら、あるいはポテチでもつまみながら、あるいは恋人とイヤンバカンウフフなどしながら(羨ましいぞ!)、このブログを読み、日常を暮らしている。

 

けれど。その日常は決して「当たり前」のものではない。

 

何かのボタンが掛け違ってしまえば、局地的な「戦闘」が勃発する可能性だって秘めているし、それはまかり間違えば「戦争」に発展するかもしれない。

 

それをしない、させないための政治であり、あるいは自衛権なのかもしれない。

 

そして、一人ひとりがどうあるか。どういう世界を望むのかが、この世界を創っていく、と僕は思っている。

 

国同士がいがみ合い、自国の権利を主張し合うのではなく、お互いの文化や違いや、考えを尊重しながら手を取り合っていく。そんな世界をぼくは望む。だから、そのために何ができるのか、を常に考えたいと思っている。

 

「平和な日常」は、誰かがもたらしてくれるものではないのである。

 

そう。映画の中のコンビニの店長さんが、子どもたちに訴えようとしたように、たとえ影響力は小さくとも、出来ることはあるはずなのである。

 

映画『空母いぶき』は相互理解の物語である

映画や物語は往々にしてそうだけれど、たくさんの二項対立で描かれる。この映画も御多分に漏れず、である。

 

日本←→東亜連邦

海自←→空自

(「いぶき」の艦長は、航空自衛隊の元パイロットという設定である)

強硬派←→穏健派

自衛隊←→マスコミ

 

考え方の違い、立場の違いは、対立を生む。対立は、争いにつながる。しかし、この映画の登場人物たちは何とか、相互理解を図ろうと努力する。仲間が殺されてもなお、である。

 

主人公の「いぶき」艦長が、東亜連邦の軍人に対し、こんな趣旨の台詞を言うシーンがある(うる覚えなので、あくまで趣旨です)

 

「君たちの国では知らないが、日本では、宗教や信じる神の違いを超えて、クリスマスを祝う。この日くらいは、平穏な一日であるようにと」。

 

ぼくはこの台詞を書いた脚本家さんはスゴイと思う。以前は「クリスチャンでもないのによ」と思ってた日本のクリスマスが、ぐっとステキなものに感じられたのだ。

 

・・・思いのほか長くなった。お付き合いいただいてありがとうございました。

 

ぼくは『空母いぶき』の関係者から一銭ももらってませんが、良い映画でした。戦闘シーンの迫力もあるし、泣かせるシーンもある。

 

・・・そして何より、本田翼がかわいかったでしたね。

嫁に来てくれないやろか(そんな終わり方)。

 

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