道なきところにこそ道がある
photo by chisako
リンガーハットで昼飯を食べた。ご存じだろうか、リンガーハット。長崎ちゃんぽんと皿うどんを出すチェーン店である。僕はちゃんぽんが好きで、たまに食べる。
僕がリンガーハットを好きな理由は、ただ単にちゃんぽんを食べさせてくれる、というだけではない。麺とスープの上に野菜がたっぷり乗っていて、しかもそれが全て国内産で賄われている、という点も、とても嬉しい。
まあ、無農薬や有機栽培になったら、もっと良いよねえとは思うけれど、それにしてもありがたい。しかも、野菜もスープもアツアツで出てくる。野菜は、各店舗の厨房で炒めているらしい。
値段はさほど安くはない(ちゃんぽん中サイズで税込777円とか、そんなもん)けれど、まあいいかと思う。
■リンガーハットの経営が傾きかけたとき
そんなリンガーハットなのだけれど、一時期かなり危うくなったことがある。
野菜を海外産にして、各店舗で調理していたのをセントラル・キッチンでの調理に変更し、かつ冷凍で各店舗に配送、店舗では電気コンロで温めて出すというオペレーションに変更したのだ。
これによって、提供のスピードは早くなる。ふむ。客は待たずに食事が出来るし、回転率があがる。ふむふむ。しかし、これが大失敗だった、という。
詳しくは、この記事に出ている。
■僕はこの話が大好きだったりする
この話から学べることは、けっこうたくさんある。
パッと思いつくだけでも「飲食店は結局味が勝負」、「思い切って『元に戻す』判断も時には必要」、「ブランドって大事」、「時流の流れを読むのは難しい」とかとか。
しかし、僕が何より感じるのは「他者の成功事例をマネても意味がない」ということ。
リンガーハットで失敗したオペレーションを導入したのは、マクドナルドの元社長だった。多分、提供スピードを上げて顧客満足度をあげるという戦略は、マクドナルドでは成功したのかもしれない。あるいは、過去においては有効だったのかもしれない。
でも、リンガーハットでは失敗した。それは、「他者の成功事例」だからだ、と僕は思っている。
マクドナルドでうまく行ったから他の飲食チェーン店でも上手く行く、とは限らない。むしろ、リンガーハットの場合はオンリーワンを追求したから上手く行った感すらある。
だいたい、ラーメン屋でもない、中華料理屋でもない、「長崎ちゃんぽんと皿うどんのチェーン店」なんて、かなりニッチだ。だけど(いや、だからこそ、かもしれない)成功した。今や海外にまで店舗展開している。
■道のないところにこそ、道がある
今の時代(というか、昔からかもしれんけど)、他者の成功事例をマネして上手く行くなんてことはないし、成功しても、オリジナルを越えることは、まずない。
逆に、前例がなかったり、誰もやってなかったら「ラッキー」と思うべきなんだろう。道がないところにこそ、道があるわけだ。
マネから入るのも良いだろう。確か、芸術はモホーだと喝破した人がいたはずだ。
ただ、マネから入っても、どうしても滲み出る「オリジナリティ」みたいなものがあるはずで、それこそがその企業が存続できる価値なんだろうと思う。
人も同じだろう。人と同じことをしていても仕方がない。自分がやりたいこと、心から好きだと思えることに全力を傾けた結果、いい感じで回りだす。それが「天命」というべきものなんじゃないかと勝手に思っている。
ところで。僕は熊本名物の太平燕(タイピーエン)の店を出したら、けっこう流行るんじゃないかと勝手に踏んでいる。でも、誰も出す気配がない。だったら自分でやろうかなと思うけれど、熊本に縁もゆかりもない僕がやるのもなあ、と思ったりもする。
誰か、熊本出身の人、やりません?(笑)