失敗しよう。~『英雄の書』を読んで~
以前、僕は「いじられる」のがとても嫌だった。今でも決して得意ではないけれど、多少は「おいしい」と思えるようになってきた。昔は「いじられるのはカッコ悪い」と思い込んでいたからだと思う。
で、今読んでる本。面白い。読み終わってないのに紹介したくなるほど面白い。
■今の私にドンピシャのメッセージ
著者の黒川伊保子さんは、人工知能の研究をした後、互換分析法なる手法を確立した人。『怪獣の名前はなぜ「ガギグゲゴ」なのか』なんていう本もある。人工知能の研究に絡んで、脳科学についても詳しい。
で、そういう人が書く、これはビジネス書と言うのかな・・・。自己啓発本という言い方はあまり好きではないけれど、まあそういう表現もできる。
■「失敗すること」の効能
本書はいくつかの章に分かれているのだけれど、第一の章が「失敗の章」。簡単に言うと「失敗しましょーね」ということが書いてある。
失敗なんかしない方が良いじゃないか!と思うじゃないですか。ところがどっこいなのです。
失敗すると、無駄な脳回路の整理につながる。失敗すると、そのとき使った脳回路は次回から使われなくなる。成功に使われた回路は優先順位が上がる。これこそが物事の本質を見抜く、洞察力の回路。
失敗すればするほど成功しやすい回路が残り、カンが働くようになるのだとか。
そして、失敗を有意義にするための3項目が、こちら。
・失敗を誰のせいにもしない。
・過去の失敗にくよくよしない。
・未来の失敗におどおどしない。
以前の僕は、この3ついずれもできていなかった。
■失敗したくない=いじられたくない
冒頭、僕が昔「いじられたくない」と思っていたのは、「失敗したくない」に近かったのだと今は思う。
「いじられる」ということは、自分の失敗やイケてないところ、ダサいところを指摘されているように感じて、それがイヤだったのだと思う。
だから、何をするにも「無難」かつ「平凡」な、通り一遍の「それなり」君になっていた。いや、なろうとしていたのだろうね。それが一番「いじられない」から。
こうなると、いじられることはない。また、「失敗」もしない。ただ、大成功することもない。どこまで行っても「それなり」だ。
■失敗しよう、そうしよう
今までの僕は、「出来ないこと」に目を向けてきた。何かが出来たとしても「いや、ここがまだまだで」とか言う人だった。
もちろん、失敗から学ぶこともあるけれど、出来ることをきちんと見て、出来ないことはクリアする心構えさえあれば、「出来ないこと」にフォーカスする必要はない。
「出来ない」にフォーカスするのは、失敗を恐れているから。それをチャレンジしない理由にしているとも言える。
でも今年に入って、「どんどん失敗しよう」というメッセージが目に付くようになってきた。
友人のブログ、今回の本、その他諸々でだ。
そして、失敗を恐れてきた僕も、どんどん失敗していこうか、という氣になっている。どんどん失敗して、どんどん脳回路を整理したい!!と思い始めている。
実は、脳の柔軟性が加齢とともに損なわれるというのは、迷信なんだそうだ。加齢によるものというよりは「使い方」が重要。そんな話も、少しこの本に出てくる。若いうちにたくさん失敗した方が良いけれど、あきらめる必要はない。
というわけで、どんどん失敗しよう(笑)。