こんな本を読んだ:『仏教ではこう考えます』

 

 

仏教ブームが到来している。

と言っても、あくまでも僕の中でだけですけども。

 

もともと、僕はさほど宗教には興味を持たずに育ってきて、しかも関わりという意味では、幼稚園と大学がミッション系だったりして、キリスト教の方が強かったりするのですが。

 

 

仏教の何が面白いかって、宗派がバラバラに分かれてるのに、別にケンカするでもなく、普通に共存していること。浄土宗や浄土真宗のように「念仏を唱えれば極楽に行けますよ」と説く宗派があるかと思えば、禅宗のように、座禅を組んで悟りの道を追求する、てな宗派もある。

 

それに、何となく僕が理想とする世界と近いものを見せてくれるという感じがするのです。例えば、「お布施」というと、なんちゅうか、お金がいっぱいある人がやるようなことと思いがちなんですが、「何かお返しがあるに違いない」とか「バーンとお金出すと、名前が売れちゃうもんね」的なお布施はアカンで、という教えがあるのです(今のお坊さんがどういう反応をするかは知りませんが)。

 

一方、「無財の七施」というのもあるらしいのです。

 

・和やかな表情で人に接する(和顔施
・他者のために心配りをする(心施
・言葉を大切に使って、 他者と接する(言辞施
・温かいまなざし(眼施
・人のために奉仕したりつくしたりする(身施
・場所や席や地位をゆずる(牀座施
・風や雨露をしのぐ所を与える(房舎施

 

ね。これなら、お金がない人にもできる。確かに、和やかな表情で接してくれるだけでも、ああ、ありがたいなあと思うじゃないですか。

 

■現役僧侶による、仏教のお話


てな話を浄土真宗の現役僧侶である釈徹宗さんが紹介する本。

 

第一部は、読者から寄せられた質問に答える、という連載をまとめたもの「お坊さんもクリスマスをお祝いするんですか」とか、そんなライトな質問から「この世は無なのでしょうか?」みたいな、なかなか骨のある質問まで、徹宗さんが答えるというもの。この徹宗さん、けっこう理論派で、回答がおもしろい。まさにタイトル通り「仏教ではこう考えます」を教えてくれる。

 

第二部は、もう少し宗教的なテーマを取り扱っている。例えば、僕が読んでいて「おお」と思ったのは、このフレーズ。

 

仏教には、まずカタチから入れ、という考え方があります。形を調える(調身) →呼吸を調える (調息)→心を調える (調心)、この手順です。

 

最近、呼吸の大切さ(深い呼吸を意識すると、心が調ってくる)ということをまさに実感したので、とってもピンポイントというか、タイムリーだった。

 

そして仏教では、人間は関係性の中にのみ存在しうる(私があってあなたがおり、あなたがいて私がいる)という考え方をとっている。僕は、この考え方が結構性に合っている。確固たる自分、というものがあるわけではなくて、人とのつながりだとか、ご縁みたいなものが自分を形成している、という感覚はすごく良くわかる。

 

また、キリスト教イスラム教のような一神教と違って、仏教は中空構造(絶対的な神や権威があるわけではなくて、和の場を大切にする)であるという指摘もある。

 

絶対的な教えがあるわけではなくて(あると言えばあるけれど、あくまで指針のようなもので)、その指針に則って生きてみてはいかがですか?というくらいの、ある意味ゆるい宗教。「葬式仏教」とか言われるけれど、意外に生きるヒントがあったりもする。

 

そういう意味でも、この本もとても興味深かった。