「銀河鉄道の夜」を読んだ。
■まず、というかいきなり宣伝
私の友人が舞台に立つと。初舞台で、しかもダブルキャストの両方で別の役をもらったと。
その原作が「銀河鉄道の夜」だったわけです。
~観る読書の時間~
2016年9月28日(水)~10月2日(日)
〈チケット〉
日時指定・全席自由席
前売り3500円
当日 3800円
【チケットのご予約はこちらから】
URL:http://ticket.corich.jp/apply/76229/020/
【会場】
上野ストアハウス
〒110-0014 東京都台東区北上野1-6-11 ノルドビルB1
TEL:03-5830-3944
http://sts-info.com/vol7/
結構ガッチリ宣伝したな。私も人が良い。
■では、本題に入ります。
実は、この作品初めて読みました。が、今まで読まなかったことを後悔するくらい、好きです。舞台も楽しみやで!!(←巧妙なステマ)。
普段、私は小説を読むときはメモをとったりしません。ストーリーや味わいを大切にしたいから。ところが、この作品は例外的にメモをとりました。自分的に、あまりにぐっとくるフレーズや、描写が多かったから。
いくつか、実例を挙げてみましょう。
■まずは、鳥捕りの台詞から。
「ああせいせいした。どうもからだにちょうど合うほど稼いでいるくらい、いいことはありませんな」
どうでしょう。一見、児童書に見えるこの作品に、この台詞。
「からだにちょうど合うほど稼いでいるくらい、いいことはない」
このフレーズを読んで、感じることは人それぞれでしょう。なので、敢えてコメントはしないで次に行きましょうか。
■次は、確か、ジョバンニの心中の言葉から。
「ほんとうにあなたのほしいものは、一体何ですか」
はい。いかがでしょうか。特に、大人の皆さんに問いたいところですね。私も、このフレーズを見て、少し考えました。「ほんとうにほしいもの」。さて。あなたが、ほんとうにほしいものは?
さて。思い浮かんだでしょうか。
■続いて、灯台守の台詞。
少し長めですが、とても味わい深いので、引用します。
「なにがしあわせかわからないのです。ほんとうにどんなつらいことでもそれがただしいみちを進む中でのできごとなら峠の上りも下りもほんとうの幸福に近づく一あしずつですから」
おそらく、キリスト教の影響を受けた内容だと思います。人間万事塞翁が馬と言いますか、一見ロクでもない出来事も、実はほんとうの幸福につながっているのかもしれない。
ただ、人はどーしても一喜一憂する。こりゃまあ、性分ですよね。でも、このフレーズを懐に入れておくだけでも、心持ちが変わる氣がしませんか。
■さて。最後の引用です。
「この辺ではもちろん農業はいたしますけれども、たいていはひとりでにいいものができるような約束になっております」
コレ。スゴくないすか。ある意味自然農的、あるいはアートテン農法的な。今までの農業は「ほっといたら、作物なんかできないでしょ?」という考え方。ま、今まではそういう考え方が主流でしたわな。
でも、灯台守は「ひとりでにいいものができる」という。これはすごい。最近思うのは、自然と調和して生きるのが、実は一番快適で、幸福な生き方じゃないのか?ということ。
「作物を作ってやろう」ではなくて、出来た物を頂く。あるいは、出来てるものを分けてもらう。
そして注目したいのは「約束になっております」の部分ですよね。自然、あるいは土地とそういう「約束」を交わす。だから、「ひとりでにいいものができる」。
どうでしょう。人間も自然の一部(のはず)で、その自然と調和すれば、自ずからうまく行くんじゃないか、と最近の私は考えているわけです。ただこれも、農業というか、農作業をしていなかったら、気付かなかったことだろうと思います。
そういう意味では、このタイミングで「銀河鉄道の夜」を読めたのは、ちょうど良かったのかも。
いやほんと、面白い作品でした。ストーリーも、興味深い。舞台の方はともかく(お時間ある方はぜひ)、小説はお読みになるといいと思いますです。割と真剣に。